完形土器 方形周溝墓
先日私のブログで、木端微塵の土器片について書いた。大倉山の師岡貝塚でのことである。しかし上倉田遺跡では様子が違う。写真にあるように私がほっているのは方形周溝墓だ。副葬品として出土した土器はばらばらであることは少ない。埋まっている以上なかなか完形で出土することは少ないが、比較的良い状態で残っていることが多い。
この写真はちょうど完形土器を調査しているところである。タコ糸が見えるが糸を張る時にはちゃんと、測量機を使って海抜何メートルであるかを割り出し、そこから錐をおろし、出土した土器の位置を確定させるのである。
同級生の田村(手前)が刷毛を使い掘り出しているところで、わたしが図面に起こしている風景である。
細心の注意を払い、ミリ単位で掘り下げていかないと、やっちまったぜ!!ということが起きる。割ってしまうのである。埋まっている時にすでに割れていたのか、掘っている時に割ってしまったのかは断面を見ればすぐわかってしまう。割れたのが古いものは黒く汚れているし、今割れてしまったものは断面は赤茶である。
土器片であれば断面を周りの土にこすり付けて黒く汚してしまえば現場では判別できなくなってしまう。後日、水で土器片を洗うとばれてしまうのだが、その場ではばれない。完形だとそうはいかない。大目玉をくらうことになる。我々二人はよく墓荒らしと呼ばれた。真夏の目もくらむような炎天下で、ミリ単位で掘っていると、意識が飛んでしまうのである。そういう時、つい、ミリでなくセンチで掘ってしまうと、ガチ――と音がして、二人で顔を見合わせることになる。田代