春爛漫

あたたかい日差しを浴びて、動物たちが活溌に動きだす季節がやってきた。 春になれば花が咲き、花が咲けばチョウが舞い始める。 チョウを漢字では「蝶」だが、中国では「胡蝶」とも呼ばれる。 この「胡」には「あごひげ」という意味があり、中国ではチョウの文字を作る時に美しい羽を差し置いてわざわざ触角に注目して名前を付けたと考えられる。 何故だろう? チョウが花から花へ飛び渡るのは蜜を求めてのこと。 蜜を求めて飛ぶのはミツバチも一緒で「蜜蜂」と漢字では書く。 ところで「蜂」は「はち」と呼ぶのは訓読みで、音読みでは「ほう」と読む。 それに対して「蜜」を「みつ」と呼ぶのは音読みで、この漢字には訓読みが無い。 訓読みは日本風に変化して読んだものなのだ。 このことから、かつての日本人には「蜜」というものが日常的にはなかったのだろう。 この蜜の甘さをかつての日本人は知らずにいたのだろう。 そう考えると、今はまことにいい時代である。

JO