藤田 宜永

今、世界は状況が一変し、対応に四苦八苦している。 その中で病に苦しみ、戦っている多くの方々と、その対応に明け暮れている多くの医療関係者には敬意と畏敬の念を持って感染しないよう過ごしている。 だが亡くなられて方が大勢いることは誠に残念なこと事である。 その中で最近、作家の藤田 宜永さんが亡くなったとの報道があった。 癌であった。 3年前に余命宣告を受けたが、1年後には奇跡的に元気な姿を見せていたので急な訃報には少々驚いた。 藤田さんは小生とは同学年なのでより身近に感じてしまった。 藤田さんは早稲田大学を中退して渡仏。 エールフランス航空に勤務してパリに7年間暮らすが、1980年に帰国し、学習塾の講師をしながら執筆活動し、作家デビューをした。 作風は自身の経験から作り出されたハードボイルドな冒険小説でパリを舞台にしたものが多かった。 その後、恋愛小説を書き出し、新境地を開いていった。 そして「愛の領分」で直木賞を取ったのが2001年。 妻である小池真理子さんは藤田さんよりも先に直木賞を受賞していたので史上初の直木賞受賞夫妻の誕生であった。 そんな藤田さんも最後には遺作となった作品「ブルーブラッド」でハードボイルドを書き上げた。 多くのファンへの最後のプレゼントのつもりであったのだろうか。

JO