3.11の真実

明日で震災から10年目だ。 政府事故調査委員会で元原発所長・吉田昌郎氏が発した言葉がある。 「水入らないんですもの。 水入らないということは、ただ溶けていくだけですから、燃料が。」、「放射性物質が全部出て、まき散らしてしまうわけですから、、我々のイメージは東日本壊滅ですよ。」 大地震の3日後、3月14日の夜、原発2号機は絶対絶命の窮地に陥っていた。 1,3号機はすでに爆発していたが、2号機はさらに悪い事態を引き起こしそうだった。 建屋の中、格納容器そのものが爆発しそうだったのだ。 その場合の最悪のシナリオは半径250Km、約5,000万人の避難が必要と予測されていたのだ。 この事実は、元総理大臣の管直人氏が回顧録で述べている。 後の調査で「東日本壊滅」に至らなかったのは現場の努力だけではなく、偶然の要素が大きかった。 格納容器に穴が開いたものの、バラバラに爆発しなかった。 又、4号機では工事の遅れで大量の水が貯めてあり、それが地震の揺れで流れ込んだため冷やしてくれたので助かった。 しかしながら後の調査で、東電は、事故は想定外だったと主張し、賠償を渋り続けている。 実際には、事故の3年前に、東北電力は大津波を予測した報告書を完成させていた。 しかし、それが公表されると運転継続が難しくなるため、東電は圧力をかけて書き換えさせた。 その決定を下した東電社内会議のトップは、吉田氏だったとみられている。 彼は想定潰しの責任者でもあったのだ。 これは、2019年の東電幹部の刑事裁判でようやく明るみになった。 その隠蔽に、原子力安全・保安院も手を貸していた。 正直に事故を検証することさえ出来ない電力会社や国に、原発を再稼働させる能力や資格がないことはあきらかなのだが。

JO