「平家物語」
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。 沙羅双樹の花の色、賢者必衰のことわりを表す。 おごる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。 たけき者もついには滅びぬ、ひとえに風の前のちりに同じ。」 多くの人が知っているだろう「平家物語」の出だしだが、この世のあらゆるものは絶えず変化する、という道理を表している。 おごりたかぶっているひとも長くその地位を保つことはできない、という事なのだ。 いつの世も同じようだ。 人の忠告をも考えず、世の中の乱れることに気ずかず、人々が何に苦しみ嘆いているかということに無関心だから長続きせずに滅びてしまう。 あまり名誉や金銭にとらわれず、無名で貧しくも、つつましく生きる方がよいのではないかと考えさせられる。 多くの日本人が共感して読まれてきたゆえんだろう。 混乱した世の中にあっても「無常」とは変化してやまない現実があるからこそ必死に生きることを表しているのだから。 現在、我々日本人としての生きる道はどこにあるのだろう、と思う日々だ。
JO