おせち

新しい年の始まりは、いつも清々しく一年の安泰と多幸を祈り厳かな気持ちになる。 お正月は元旦から「おせち」から始まるのが楽しみの一つだ。 それぞれの料理の縁起を思い浮かべながら味わうと「良い一年でありますように」という思いが新たになるものだ。 ところで「おせち」が今のような形で一般家庭で祝われるようになったのはいつごろなのか。 古来、お正月は家々に歳神様(としかみさま)が訪れ幸せをもたらす、とされていた。 この「とし」という語は「登志」であり「穀物」、「イネ」をあらわし、歳神様は農耕神であったとされる。 元来、お正月は収穫を感謝し、新しい年の農耕生活の無事と豊作を祈る農耕行事であり、「おせち」は日々の加護への感謝の祈りをこめて歳神様に御馳走する「神饌」だった。 暮れにいらっしゃる歳神様に供え召し上がっていただき、翌日の元旦にそのおすそ分けをいただくことで神様の霊力を分けてもらう習わしなのだ。 平安時代の貴族の節会の料理が武家社会の儀礼時の料理となり、江戸時代に徐々に一般庶民に広まった。 一般家庭で「おせち」が重箱に詰められるようになったのは明治時代からで、現在のイメージが確立されたのは太平洋戦争以降のことだ。 デパートが売り出して人気になり、現在に至っている。 コロナの件もあるがお正月は自宅でくつろぐのが一番だ。

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