ことばの読み解き1
プロ野球もそろそろ終盤。 野球の打球には高く打ち上げる「フライ」、直球的に飛ぶ「ライナー」、地面を転がる「ゴロ」などがある。 「フライ」「ライナー」は明らかに外来語と分かるが、「ゴロ」ははたして外来語なのか? それとも日本語なのか? 1897年(明治30)年に刊行された本邦最初の野球研究書「野球」のなかに、地面をこすってゆく「ゴロ」は「GROUNDER」の略である、と明記されている。 しかし「ゴロ」と「グラウンダー」とでは発音が違うので素直に原語の省略形とは思えない。 あるいは原語のスペアリングの頭の文字(GRO)をつづり文字読みして生まれたのかもしれない。 ともかく当時すでに「ゴロ」が使われており、今日まで100年以上にわたって日本で生き続けている。 こんなに広く浸透したのは、やはり日本人の意識のなかに「ゴロゴロ転がるからゴロ」という語源解釈が大きく作用しているからに相違ない。 つまり、生まれはアメリカであっても、育ちは間違いなく日本だということができるのではないだろうか。
JO