ゴールデントライアングル

ゴールデントライアングルという言葉をご存じだろうか。タイとラオスの間を流れるメコン川と、タイとミャンマーの間を流れるルアック川が合流し、3国が国境を接する地帯をゴールデン・トライアングルと呼ぶ。タイは経済発展を遂げ今では表向きほとんどなくなったといわれているが、かつては世界最大の麻薬密造地域であった。

タイ北部の山岳地帯ゴールデントライアングルを、トレッキングして回るツアーの募集看板を見つけたのはタイの古都チェンマイであった。地元の人に紹介されたゲストハウスが日本の社会をドロップアウトした人たちのたまり場のような場所になっていた。当時は大学卒業を控えこれから就職して頑張るぞと思っていた頃で、ここを抜け出さなければ日本に帰れなくなると思っていた時である。朝4時にゲストハウスをそーっと抜け出しそのツアーへ参加した。

フランス人のカップル、ドイツ人の男性、スウェーデンから来た女子大生2人、そして私とタイ人のガイド、計7人のツアーで、私の人生で何物にも代えがたい最高のツアーが始まった。どこへ行って素晴らしい景色を見た、という思いではほとんど忘れてしまっている。何十年たっても記憶に残っているのは人とのかかわりである。電気も電話も無い地域を、ガイドを先頭に5日間トレッキングし、彼らと寝食をともにできたことは最高の出来事であった。

ジャパニーズイングリッシュといって日本人が話す英語なまりを卑下することがあるが、発音なんて関係ない。何を思い何を話すかである。フランス人が話す英語はフランス語の様な英語を話すし、ドイツ人が話す英語はどう聞いてもドイツ語であった。そして何より大切な事は相手が何を言いたいのか想像する事である。自分の思いを一方的に話していては相互理解は生まれない。

ここまで書いてふと考えた。えらそうに相互理解などと書いたが、はたして私は職場のスタッフと話ているだろうか。皆が何を考えているか想像できているだろうか。一方的になってはいないだろうか。ゴールデントライアングルで学んだことを実践しよう。田代