サービス
今日、日本で働く大多数の人たちはサービスの仕事をしている。 サービス業とは、飲食、販売、物流、医療、介護、教育、法曹関係、会計関係、コンサルタント、エンターテイメント業界、そして公務員、や政治家もサービス業だ。 これほどサービス分野で働いている人が多いのだが、一方でサービスとは何かを分かっていない人も多い。 例えばこんな言葉をよく聞く。 「お客さん、サービスしておきますからいかがです」、「サービスでおまけしておくますね」。 サービスとは値引きであり、またはオマケをつけることだと思っている人が多いということの証拠だろう。 しかし、サービスとは値引きでも、オマケをつけることではない。 サービスは人に対する心からのもてなしなのだから。 「私にとってあなたは必要なんです。 どうしても大切にしたいのです。」 という気持ちを行動でしめすのがサービスだ。
1970年代スカンジナビア航空は赤字が膨らんで、サービスも低下していた。 ところが、’81年、ヤン.カールソンというサービスを大切にする男が社長に就任し、改革を始めると、わずか1年で黒字経営に戻す事ができた。 かれが行った改革は、「真実の瞬間を大切にする」 ことだった。 成果として次の様な事例がある。 あるアメリカのビジネスマンがストックホルムのホテルに航空券を忘れて空港に来てしまった。 ビジネスマンは「これじゃ飛行機に乗せてもらえないな」 と思いながらカウンターで話してみると、係員は 「御心配いりませんよ。 搭乗券はお渡ししますし、仮発行の航空券を添えておきます。 ホテルの部屋番号が分かれば、こちらで取りにいきます。」 係員はすぐにホテルに電話をし航空券を見つけ、自社の車を出してドライバーに取に行かせた。 そして無事に航空券はビジネスマンに届いた。 カールソン社長は言っている。 「もし、古い航空会社なら搭乗させないでしょうね。 当社では窓口の係員がその場で判断し処理します。 そういうふうに権限を委譲してあります。」 この話の中で忘れてならない事は、係員からの判断で目の前のお客様のために出来る限りのことをしたことだ。 カールソン社長は 「サービスにおける真実の瞬間は15秒だ」 と言っている。 「スカンジナビアン航空の年間客数1,000万人が当社の従業員と接している。 その平均時間は15秒。 この15秒の間に当社を利用したことが最良の選択だったと納得してもらわなければならない。」 だからこそ最前線の従業員にアイデア、決定、対策を実施する権限を委ねている。 経営者が社員を信用しているし、社員もまた経営者を信頼している。 「人はだれもが自分を必要としていることを知り、感じなければならない。 情報を持たない者は責任を負う事はできないが、情報を与えられれば責任を負わざるを得ない。」
サービスとは人が人に対して行なうコミュニケーションなのだから。
JO