時局で想う事
以前にも書いた事があるフランスの作家 サン・テグジュペリが書いた「星の王子さま」。 1953年、日本で初めて出版された時、訳者である内藤氏が名付けた題名「星の王子さま」は日本人の感性がなしえた素晴らしい題名と思う。 原題は「Le Petit Prince(小さな王子さま)」なのだ。 世界200か国以上の国で翻訳出版されているが日本だけが題名を変えているのだ。 この題名のおかげで日本で広く知れ渡り、内容には現在にも通じる多くの課題が記されているように思う。 中でも王子が地球で出会った地理学者から、”花ははかないので記録にのせない”と言われて失望する場面がある。 西洋的な考えでは”過ぎ去るものは例え話にすぎない”、という考えかたが書かれているが、日本人には消え去ったものでも美しい余韻となって消え去らない、という考え方があり平安時代にそれは確率された。 世阿弥がいうところの”まことの花”、すべての時々に咲く花の美しさは永遠に保たれるものであり、「源氏物語」で”もののあわれ”に通じる表現なのだ。 王子は物語のなかで星を壊されないために、バオバブの芽を摘み取るために”ヒツジ”がほしかったが、”ヒツジ”は空っぽの箱の中にいた、という話は現代にも通じる話と思う。 地球の平和は、いかにその芽を摘み取るかの先にあるのだから。
JO