目にするものを素直に信じてしまうお人よし

先日 利用者さんから写真は無いの、と聞かれました。残念ながらほとんどないんです。アメリカ旅行中はそれなりに残っています。以前貼り付けたクリスマスパーティーの写真はその一部です。タイやインドの写真は全く残っていません。

ノーベル賞をとった日本の科学者は若き研究者に向けて、目の前で起きていること全てを疑え!と語っていました。その点私はどうしようもない位、お人よしなんだと思います。

当時はデジタルでなくフィルムカメラしかありませんでした。カウンターがついていて、1枚撮るたびに、今何枚目、というのを教えてくれるようになっています。日本を発つときに空港でフイルムを買いカメラにセットしました。

1枚2枚3枚と楽しい旅の思い出を写真に記録していました。途中ゴールデントライアングルのトレッキングや、タッツンからチェンライへの川下り、そしてバスで知り合った方のお宅に泊めてもらった時、インドやネパールでの楽しい思い出もバシバシ写真に撮っていきました。20枚30枚、どんどんカウントされていきます。

36枚撮りのフィルムと言っても何枚かおまけがついていて、少し多く写すことができました。40枚とカウントされてもおまけが多くついていて、ラッキーとしか思わず、目の前のカウンターを全く疑いませんでした。50枚60枚、どんどんカウントされていきます。

言い訳をさせてもらえば、私は器械に疎く、フィルムを自分でセットした経験がほとんどなかったため、出来ればやりたくないと心の底の方で思っていたのだと思います。

日本へ帰る直前、カウンターはあと少しで100枚を記録するところでした。3ケタの数字を目前にして、私はようやく「おかしい」と疑ったのです。いくらなんでもこんなにおまけがついているわけないですよね。私は勇気を振り絞り、カメラのふたを開けてみました。

カメラはフィルムの上下に穴が開いていて、そこにカメラの巻き取り機の出っ張りを引っ掛けて巻き取る構造になっています。それが引っかかっておらず、私は巻き取ったつもりだったのですが、フィルムは全く動いていなかったのです。引っかかっていないので、巻き取り機は何回転でも回転し、カウンターの数字は増えていったのでした。

初めての海外旅行で私は生涯忘れることのできない最高の体験をすることができたと思っています。私に文才が有れば、五木寛之の「青年は荒野を目指す」以上の小説が書けてしまうような体験だったと自信を持って言う事が出来ます。アーそれが。

目の前の事象をすべて疑え。ノーベル賞をとるような科学者の言葉は重みがあります。田代