雨の日に想う

日本列島は長梅雨の中で各地に甚大な被害が起こっている。 被災された方々には心からお見舞い申し上げます。 早く復興することをお祈りいたします。 その中で今まで溜めこんでいたものを解放しようと思った矢先の雨模様に心が沈んでしまう。 しかしながら、蓼食う虫も好き好き。 さらに言えば、日本人ほど世界でもっとも「雨」が好きな民族はいないのでわないだろうか。 日本では古来から短歌をはじめ俳句、小説、民謡、はては歌謡曲まで雨をテーマにしたものは数かぞえられない。 詩人、高橋順子の歳時記「雨の名前」がロングセラーになっているのも、日本人の「雨好き」によるものかもしれない。 古来からの「雨の名前」をキーワードに、現代日本人の暮らしの根っこに迫る「雨の言葉集」だ。 繊細さが漂うものから、ダイナミズムを感じるものまで、幅広い表現をみせる雨の表現に思わず心が揺さぶられる。 「この国にはあめが多い。 私たちは雨の生活の糧としてきた農耕民族の末裔だが、それゆえの季節の雨、朝晩の雨、強弱、大小、ある時はしっとりと降りかかる雨に一喜一憂、それぞれをふさわしい名前でよんできたようだ。 心ひかれる雨の名前をいくつも持つこの国の言葉が好き」、エモーショナルなあめの言葉を、物語性あふれる美しい写真とともに楽しめる。 「乾いた心とからだに沁みていく雨は天からのおくりもの」 「沈殿していた記憶に雨粒が落ちる。 雨が洗い流してくれたこと、雨が潤してくれたこと。 長雨のその先に想いを馳せる」。

JO