イボ取り物語

それは突然現れた。灯台下暗しというが、足元どころかまぶたに突然イボが現れた。桜の花は硬く小さなつぼみが暖かくなるにつれ徐々に徐々に大きくなっていき、そして開花を迎える。それはまぶたの下で生まれ、人知れず本人も知らず、徐々に徐々に大きくなっていき、まぶたの下に入りきれんばかりの大きさまで成長した所で突然現れたのである。それも7個横一線に並んでいる。くっきりと表れた7個のイボを前に私は途方にくれた。爪でつまんで取れるかと思いきや、どこまでも伸びてついてくる。いっそのこと爪切りで切ってしまおうか。こうしてイボとの死闘が始まった。マルタの前にある河津桜が満開の頃の事である。続く(?)田代